裁判員制度はいらない!大運動の大規模全国的抗議活動にも関わらず、我々を完全無視するかのように各地で裁判員裁判が次々に行われています。「裁判員制度そのものがおかしい」という観点からの報道は一切タブーとなり、あたかも重罪事件の裁判は裁判員裁判が当たり前であるかのように淡々とした報道だけが行われています。このまま数年後には裁判員制度の存在そのものへの疑問は一切持たない市民だけにしてしまおうという悪辣な目的としか考えられません。
裁判員裁判が当たり前のように行われる情勢、といえば聞こえが良いのですが、現実的には年間2000?3000件の制度対象となる重罪裁判があり、一ヶ月で200件前後をこなさなければいけない計算になります。東京地裁本庁や大阪地裁本庁、千葉地裁ではそのうち10%前後を占めるため一ヶ月で約20件、すなわち、計算上は土日を除く平均毎日選任手続が行われるということになります。千葉地裁などは施設の余裕がなく、かつ弁護体制が極めて不十分、というより裁判員制度反対派弁護士が多いこともあり、本当に件数をこなせるのかといった疑念が早くも出ています。また、一ヶ月で200件前後ということは、毎日10件前後の新たな裁判員裁判が行われる計算になります。10月27日には立川支部・甲府・富山・浜松支部・京都・堺支部・松江・鳥取の8地裁で裁判員裁判が行われる予定ですが、これでも裁判員裁判が予定する数の平均からすればまだ少なく、かつ、こんな状況が毎日起きて当然なのが裁判員裁判なのです。
こんな情勢の裁判員裁判。とはいえ、「大本営」の推進派は懸命に「順調な滑り出し」を協調しています。そんな中で、
名古屋高裁や
大阪高裁が管内地裁の裁判員裁判の日程を宣伝しています。名古屋・大阪高裁に限らず、各地の高裁や地裁が裁判員裁判の日程宣伝をしています(リンク先はここではあえて触れません)が、検察が裁判員裁判を宣伝することに違和感を感じたのは私だけでしょうか?世界の市民参加司法制度は例外なく被告人の人権を守る観点から導入されたものです。すなわち、
裁判への市民参加で被告人を守るということは、検察側にとって市民参加されたら都合の悪い事件ということですから、おいそれと検察が市民参加裁判を宣伝するなどできないはずです。それを逆に検察が積極的に日程宣伝をする、すなわち、この制度が検察側市民の立場から推進されたことを如実に物語っているといえるのです。
この観点からいえば、本来裁判員裁判を宣伝すべきなのは日弁連や各地の弁護士会です。ところが、検察は組織的に動いている反面、弁護士は個人商売といった一面もあるために弁護士会として日程宣伝ができない事情、当の弁護士側が最も混乱しているためにできないなどの理由があります。それよりも、「裁判員裁判を宣伝すればオウンゴールになりかねない」という理由であれば深刻です。これは、本来市民参加司法制度が弁護側の論理で導入されてきた世界の潮流とはまるで逆だからです。
市民参加司法制度によって、被告人の人権侵害に加担するのであればまさに本末転倒としか言いようがありません。